院内のご案内

院内設備について

日本光電 セルタックα

 血液中の細胞数(赤血球・白血球・血小板)の数を調べます。これを完全血球計算(CBC)検査と言います。様々な病気で血液中の細胞数は変化するため、CBCでの異常の有無は動物の状態把握や疑われる疾患の絞り込みに有用です。ただ、CBCでは細胞数だけで判断をするのでは無く、顕微鏡でそれぞれの細胞の形態変化を見たうえで判断しなくてはならないため、染色した血液細胞を顕微鏡で検査することも同時に行います。

IDEXX カタリスト

 血液化学検査を行う検査です。血液化学検査とは血液中の酵素や化学物質、ミネラルの濃度を測定する検査です。

 例えば、肝臓の細胞内にある酵素が血液中で増加している=肝臓の細胞が壊れて細胞内の酵素が血液中に漏れている=肝障害があると考えられます。

 このようにして血液化学検査の結果に異常が認められた場合、おおよそどの臓器に問題がありそうか候補を絞ることができます。また、数値がどの程度悪いかということで、病気の進行具合も評価できます。病変のある臓器を絞り込める点から、よく行われる検査です。

GE Logiq S8

 超音波検査機器(俗に言うエコー)です。開業以来同じGE社製のLogiq P5という機種を使っていましたが、2019年にS8に切り替えました。このLogiq S8という機種は獣医領域では大学病院で使われるレベル以上の機種です。昔のエコーはブラウン管モニターでしたが、実はエコー画像は液晶モニターよりもブラウン管モニターの方が応答性・コントラストともに高く高画質でした。このS8は機械自体の性能も超高性能なのですが、画面に有機ELパネルを用いており、ブラウン管と同等以上の画質を得られます。

 そもそもエコー検査にそこまで高画質が必要なのかという疑問もありますが、高画質であればあれこれ悩む時間が少なかったり、結果として検査にかかる時間が少なくなったり、説明の際に理解が得られやすかったり、実は時間的な面でのメリットが大きいのではないかと感じています。

東芝 VPX-100

X線発生装置です。デジタルX線フィルムと組み合わせて、レントゲン画像の撮影を行います。高出力まで対応可能なため、大型犬の撮影にも十分耐えうる性能を持っています。レントゲン画像は、胸部や腹部の全体像を把握できることや、骨や臓器内の気体の確認ができる点が特に優れています。

ケアストリーム DR

デジタルX線フィルムです。以前使用していた富士フイルムのFCRシステムと比較して撮影から画像を得るまでの時間が2分から15秒へと短縮し、画質も向上しました。

麻酔器・人工呼吸器

 手術や内視鏡を行う際の全身麻酔に用いる麻酔器(左)と人工呼吸器(右)です。ハムスターから大型犬の麻酔に対応しています。当院では、全身麻酔の際には必ず気管挿管を行うことにしています。手術中に呼吸が弱くなることは、よくあることですが人工呼吸器があれば自動で呼吸を行うことができ、安全に麻酔を続けることができます。


電気メス ellman サージトロン4.0 Dual

 ほぼ全ての手術で使用する電気メスです。メスといっても切開ではほとんど使用せず、バイポーラと呼ばれるピンセットのタイプをよく使います。バイポーラは、主に軽度~中程度の止血に用いますが止血をうまくコントロールすると術野がクリアな状態で手術をすることができます。古い機種では、電圧・電流の自動調整機能がついていないので止血部分が焦げてしまい再出血を起こしてしまいますが、この機種は組織の止血具合を感知して、電圧・電流を調整するので正確な止血が可能です。電気メスの使い方で、外科医の腕がわかるとも言われているため、どのようにして使いこなすのかを日夜研究しています。最もお気に入りの手術器具です。

 ellmanのサージトロンは電気メス機器の中での、ラジオ波という他機種と異なった周波数の電波(電気)を用いています。動物の場合、毛があるため電気メスから発した電気エネルギーを回収しづらく電気メスやけどを生じるリスクが人よりも高くなります。しかし、ラジオ波を用いると毛があっても電気エネルギーの回収が容易なたため、やけどは絶対におこらないばかりか、正確な切開・止血が可能となります。

 電気メスによる止血・切開は非常に奥が深く、日夜電気メスの斬新な使い方を模索中です。


シーリングシステム Olympus THUNDERBEAT

 以前使用していた超音波手術装置SonoSurgが製造終了してしまったため、導入しました。SonoSurgは先端のチタンブレードを超音波振動させて組織との間で摩擦熱を発生させることで、血管をシーリング(止血)しながら切断していましたが、THUNDERBEATは通電による熱によって止血した後に超音波振動で切断します。SonoSurgとの違いは止血できる血管のサイズが直径4mmから7mmとなりより太い血管を止血できるようになったこと、同サイズの血管であればより確実に止血できるようになったこと、約1/3の時間で止血と切断が終了することの三点で良いことづくめです。一目で目視できるような太い血管は手術中にすぐに見つけることができますが、細い血管や脂肪に包まれた血管は見えないことも多く、THUNDERBEATではそのような血管があっても、安全に止血をしながら切断することができます。手術時間の大幅な短縮ができるため、リスクの高い手術で活躍します。

 また、一般的な電気メスとしても使用することができ、バイポーラという止血に用いる電気メスの性能は上のサージトロンよりも優秀なため、電気メスも現在はこちらをメインで使用しています。


ストライカーTPS

主に整形外科で用いる、骨を切断する電動ノコギリ(ソー)と電動ドリルです。実は、日曜大工で用いる電動工具と大きな性能差はありません。大きな違いは、高温(121℃)に耐えることができるため、滅菌が可能であるということです。滅菌がおこなえない器具は手術に用いることができません。さらに通常の電動工具に優っている点は、トルク(回転させる力)のかかり具合を調整することができたり、回転速度を設定できることで、神の手のような技術がなくても緻密で正確な手術を行うことが可能になります。骨折や関節の手術で活躍します。


フジフイルム内視鏡(ビデオスコープ)

  開腹を行わずに消化管の検査や誤飲してしまった異物を取り出すことができる内視鏡(ビデオスコープ)です。重篤な消化管疾患が疑われる場合や、慢性の消化器症状が見られる動物の検査を体の負担が少なくおこなうことができます。また、異物誤飲に対しても内視鏡によって摘出できるケースも多々あります。ファイバースコープというガラスファイバーを通して術者がそれをのぞいて検査する古いタイプの内視鏡ではなく、当院ではビデオスコープという先端にビデオカメラがついていて消化管内をモニターに写して検査をする現在の人医療でも用いられているタイプになります。拡大した視野で観察ができるため、詳しい検査が可能です。

 以前使っていたペンタックスの内視鏡が不調のため入換えとなりました。ハイビジョン画質となり、スコープも太いもの細いものの2種類となり、大型犬でもきれいで鮮明な画像で検査ができるようになり、猫や超小型犬の十二指腸の検査も可能となりました。


集中治療室 ALTAS 16L-F

 開業時よりずっと導入したかった集中治療室です。使用頻度はそこまで多くは無いですが、いざという時にあると有用な設備です。麻酔前後の状態安定化にも有効です。機能としては、ケージ内の酸素濃度・室温をコントロールすることができます。重症患者の治療や手術後の状態管理に使用します。入院動物の生存率を上げるための設備として日夜活躍しています。