インコの扱いがひどすぎる

 こんにちは。さつき台動物病院の院長 多田です。恥ずかしくて劇場に観に行けなかった大人のみなさんは、先日の金曜ロードショー「君たちはどう生きるか」を録画して最低でも3回は観たことでしょう。感想はどうでしたか?私は公開当時に映画館に観に行った娘にしつこく「どんな映画だったか教えて?」としつこく聞いたのですが、「わからない」という返事が返ってくるばかりで、これが反抗期かと肩を落としていましたが、娘が正しい返答をしていたことが判明し謝罪しました。

 

 現実世界に馴染めない子どもが、なぞの世界に行って若い頃の死んだ母親と冒険すると、そこの社長みたいな叔父さん?がその世界の調和を保つ事業を継承してくれと言われるが、その世界は意味不明過ぎるので断る。断ると世界がぶっ壊れる。ちなみに父親は死んだ母親の妹とすでにデキており、その夏子はつわりが酷いのに、なぜが謎の世界で出産準備する。なお、上記の出来事は全部忘れました。

 

 間違ってるかもしれませんが、まぁこんな話だろうと思います。意味不明すぎます。視聴時間を返してくれと思いました。劇場で観たら確実に寝ています(テレビで観ても途中で止めずにトイレに行きました)。ちなみに映画館で寝たのはプリキュアとデッドコースターの2つだけで、どちらも付き添いや時間調整の為に観た映画です。

 

 千と千尋の神隠しがジブリで最も成功した映画のため、どうしても「若者が精神的に成長する映画」を作りたくなる気持ちも解りますが、若者の成長なら「はじめてのおつかい」という最強コンテンツがあるので、そちらで十分です。千と千尋がなんであんなに人気があるのかはわかりませんが、私は宮崎駿の最高傑作はもののけ姫だと思っています。高校生の時に、公開日に立ち見で観ました。旧エヴァAir/まごころを君に。公開1周間前という日本アニメ映画史上最も熱い時期でもありました。サン、アシタカ、エボシ、ジコ坊の4者の思惑が複雑に入り組み、最後は自然の前には人間は無力であるというメッセージ性の強いストーリー、久石譲のすばらしい音楽。人間は自然の前に無力であるので、自然と調和をとって共生していくしかないというのは、普及し始めていたエコロジーという最先端の概念を映画化したものでした。人類補完計画で人類を1つにしたら問題解決するんじゃ映画のエヴァとはまさしく対比的で、宮崎駿対庵野秀明の師弟対決の様相を呈していました。

 

 君たちはどう生きるかでは、AIで作ったようなピアノポロンポロンの謎の音楽。煉獄杏寿郎の最期をみてしまうと、手抜きとも思えるようなアニメーション。そしてはじめてのおつかいに負ける意味不明なストーリー。特に盛り上がる場面もない。日本インコ・オウム協会からクレームが来そうなインコの扱い。

 

 やはり、ヒット作を作るなんてよほどの強運に恵まれないとできないことですし、ヒットを連作してしまったらその次の仕事も絶対に失敗はできないわけです。そうすると、思い切ったものは作れない。1回ヒットすると次の作品もとりあえず話題にはなるわけで、もののけ姫のデキがすばらしかったから千と千尋の神隠しがヒットしたってのは間違い無いのでは?と思いました。結論としては宮崎駿の最高傑作はもののけ姫という事になりました。

 

 それにしても、インコの扱いが酷い映画だなとおもいました。弱ったインコはちょっと触っただけで死んでしまったりするんだから、あんなに凶暴なはずないのにそして、主人公の父親はジブリの大人史上最もダメな大人だと思う。