万国ドラゴンボール総復習会

 鳥山明が亡くなった。68歳だったそうだが、漫画界の偉人は手塚治虫、藤子Fなんかをみても早死してしまうのが通例だ。漫画家で最も稼いだのではないかと思われている遊☆戯☆王の作者も亡くなっている。最近は漫画をリアルタイムで読むことも無い私には、鳥山先生の死は大した影響を与えていない。ベルセルクの作者が未完のまま突然死してしまったことや、食べれませんの作者が30代で亡くなった時のほうが衝撃を受けたし影響があった。「ら抜き言葉」って完全に定着しましたね。

 

 そして、いま全世界でドラゴンボール総復習大会が改めて行われている。ドラゴンボールが日常の話題に上がることなどここ10年は無く、それはまさしく蛇口から出る水が話題にならないことと同じ、つまりドラゴンボールという作品は私達にとって水道水と同じ程度に生活に密着したものだったことにいま気付かされる。当たり前に水がもう手に入らなくなると気がついて、初めて水道水が話題に上がるのである。

 

 学生時代にリアルタイムでドラゴンボールを読んでいた私にとって、ドラゴンボールのセル編とブウ編は蛇足であったとずっと感じてきた。総復習大会での感想でも、セル編とブウ編はそれまでと比較して評判は良くないようである。ギャグ要素やウパとその父、悟空とじっちゃんの家族愛などもあったほっこりバトルマンガの前期、サイヤ人来襲からフリーザ編までのシリアスな中期、セル→ブウ編の後期を比較すると、前期〜中期が面白く、特に悟飯をピッコロが修行したり、ピッコロが悟飯を庇って死ぬシーンはリアルタイムで読んでいた読者には今考えてもジャンプ史上5本の指に入る胸熱シーンである(悟飯の道着の文字が「魔」なところも)。「炭治郎が杏寿郎の鍔を使うって胸熱だよね!」とか言ってる小学生には「ドラゴンボール読めよ!」と言いたい(老害)。だいたい柱合会議で炭治郎を死刑にしようとしてたじゃないか、あいつは。ピッコロは当時で言ったらラスボスだぞ。ちょっと前まで魔ジュニアって呼ばれたたんだぞ!

 

 さて、セル編とブウ編であるが、改めて評価してみようと思う。30年も経てば評価が変わってもおかしくない。

 

 セル編:私がセル編で最も興奮した場面、最初に謎の青年(トランクス)が復活したフリーザを剣で真っ二つにしたシーンである。当時の読者はあのシーンで、トランクスは大猿化したベジータの尻尾を突然切って地球を救ったヤジロベーと同じ類の「一瞬で試合の流れを剣で変えるゲームチェンジャー」だと思ったはずだ。F1で言うとセバスチャンベッテルが出てきた時に似た興奮を覚えた。しかし、その後のトランクスの口からは悲惨な未来が語られ、必死こいて戦った19&20号は人違いやて!、ベッテルはワールドチャンピオン4回獲得だが、トランクスもイマイチ活躍せず、出落ち野郎であった。しかも、結局未来でボコボコにされて片腕を無くす悟飯が活躍してセル編終了。作品が違えばタイムパトロール案件である。おい!トランクス!失望したぞ!剣使わんかい!クリリンにはもっと失望させられた。

 

 ブウ編:セル編を白けた雰囲気にしたのは主にトランクスであったが、実はもう1名その責を追うべき人物がいる。ミスター・サタンである。中期には全く出てこなかったギャグキャラの復活である。こいつが全盛期(中期)の雰囲気を良くも悪くもぶち壊しにしてしまっている。しかも前期にはあれだけ多種多様な見た目のキャラクターが百花繚乱していた漫画であったのに、新キャラはサタンしか出ていなく、悟天という少年期悟空のコピーキャラが出たり、原稿をコピーして使ったり、作者のモチベーション低下を如実に感じさせる作品になっていた。ただ、最後にサタンの嘘で世界が救われる点は良かったと思う。政治家も国民全員ががんばらずして国が良くなるハズが無いのだから、サタンのように上手く国民を騙して頑張らせてみんなが幸せに暮らせる良い国にしてほしいと思う。サタンはドラゴンボールの中で唯一の良心の塊だった。ヤジロベーも根はいい奴なんだけども。

 

 ちなみに、家族を持って丸くなったベジータが悟空の強さを認めるのが胸熱と書いてる人が多いが、みんな忘れてると思うが幼少期の悟空はサイヤ人気質が強くとても凶暴でじっちゃんも手をつけられなかったが、頭を強く打って以来おだやかになったのを忘れていないだろうか。ベジータはおそらく地球に来るまで誰にも殴られたことが無かったのに、悟空に会って以来ボコボコにされ続けているし、ナメック星ではクリリンに半殺しにしてほしいと言ってしまうくらいのパンチドランカーである。きっと頭を強くうちすぎた結果としての「お前が(頭を打った回数が)ナンバーワンだ」なのであろう。

 

 鳥山作品での一番の傑作は間違いなくスライムで次点は勇者ヨシヒコかなと思います(奴隷にされたり石にされたりリアルタイムのプレイでは衝撃だった。逆玉を選んだほうが子供が強くなるのも衝撃だった。もちろんビアンカ派です)。三位はなぜか小学校のクラスで真似が流行ったミスターポポです。「タダ・ユウイチ、嘘つかない」。

ーおわりー