インフルエンザの流行

 

 

 

こんにちは。

さつき台動物病院 院長の多田です。

みなさんはインフルエンザのワクチン打たれているでしょうか。

私はワクチン不足のあおりを受けて、今年は打てませんでした。

ワクチンの長所・短所、そして必要性ってわかりにくいですよね。

そこでインフルエンザワクチンを例に、調べてみました。

 

インフルエンザワクチンを接種することによって

①インフルエンザにかかる確率が4割減る

②インフルエンザにかかった際に肺炎などの合併症にかかる確率が減る。

 

②はなんとなく理解していましたが、①の4割はなんとなく低い気がしますね。

しかし、インフルエンザの患者さんが4割減ると感染が伝播する速度(すなわち感染者数も)がかなり遅くなります。試算してみます。

まず、インフルエンザウイルスが感染力を持っている時期は限られています(12〜2月)。12月〜2月の90日間に、感染者1人が10日間で10人に感染させるとすると

90日で9サイクル伝播するので10の9乗で1億人が1シーズンにインフルエンザにかかります。ところが全員がワクチン接種をすると、感染する確率が4割減るので6の9乗で100万人ちょっとになります。1億/100万で100分の1になりますね。個人で考えれば4割しか感染確率を下げられなくても、日本全体&12月〜2月でと考えると、全員でワクチン接種をすると感染者数は99%減らすことができます。今回は試算の前提となる数値が適当なので正確ではありませんが、私達が集団の中で生活していて、その中でウイルスが伝染していることを考えると、ワクチン接種は確実にインフルエンザにかかる確率を4割以上減らします(今回の試算は99%)。

 

こういった学問を疫学というのですが、私達は集団のなかで生活しているので疫学を無視して治療の効果を判定することは(特に感染症の場合)あまり意味がありません。インフルエンザワクチンの効果がきちんと浸透しないのは、こういった疫学的な事をしっかりと説明できない医師が多いのかもしれません。